川上 裕也(かわかみ ゆうや)
本当に必要な利益を知る。
From:川上 裕也(株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング)
「税理士事務所からは、利益が出て順調だって言われたけど、預金のお金はぜんぜん増えていないんだけど・・・」
「設備投資をしたいけど、いくらまで借入ができるのかがわからない・・・」
というご質問を受けることがあります。
この質問の回答で大事なのは1つだけで、それは「必要になる利益」です。
「キャッシュ(現金と預金)がプラスにするために必要になる利益はいくらなのか?」
「設備投資をした後の借入金を返せるのに必要になる利益はいくらなのか?」
いくら利益が出て黒字になっていても、本当に「必要になる利益」に達していなければ預金は減っていきます。なぜなら出た利益から借入金を返済するからです。設備投資をしても、そのために増えた借入金を返済するのに「必要になる利益」が確保できなければやはり預金は減っていく、ということになります。預金が減っていくということは?借入をしないと資金が回らない、ということになりますから経営としてはうまくいっていない、ということになります。事業を経営するうえで「必要になる利益」を知っておくことはとても大事なことです。
では「必要になる利益」はどう知れば良いのか?
仮に利益が800万円、税率が30%、借入返済が600万円であったとします。
利益800万円 – 税金240万円 – 借入返済600万円 = -40万円
利益800万円に対して、240万円の税金がかかっているので、800万円の利益を出しても実際には-40万円で預金が減っていることになります。
ここポイントになるのは「借入金をするということは必ず税金が出る」ということ。
借入返済がある → 利益を出して返す → 利益を出すということは税金も出る。
借入金には利息だけではなく税金もコストとしてかかっていると考えられます。
それを踏まえて上記の例で借入返済が600万円の場合に「必要になる利益」はいくらだったのでしょうか?答えは税金30%を引いた額が600万円になれば良い、ということなので、以下のようになります。
600万円 ÷ 70% = 約857万円
設備投資の場合も上の式を利用して、本当に必要な利益を計算すれば、投資回収に必要になる利益を計算できます。仮に設備投資をすることで借入返済が1,000万円に増えるとすれば、必要になる利益は、
借入返済1,000万円 ÷ 70% = 約1,428万円
いかがでしょうか?借入返済額を70%で割ることでおおよその「必要になる利益」は計算できます。しかしこれは借入返済のために最低限の「必要になる利益」。実際には退職金積立や将来の設備投資・修繕積立を考えると60%~50%で割る計算でも良いくらいです。
新型コロナウイルスの影響で、日を追うごとに資金繰りが急速に悪化している企業が増えています。今、そしてこれから「必要になる利益」がいくらなのか?売上と経費の予測を見直し、借入金の借り換えや元金据え置きなどの対策を施して、いかに「必要になる利益」を確保するのか。シミュレーションしてみることをおすすめします。
PROFILE
川上 裕也(かわかみ ゆうや)
株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング
コンサルティング部門 医業収入アップ シニアコンサルタント
北九州市立大学卒業後、4つの会計事務所で約20年間、経営者の良きパートナーとして200件以上のクライアントを担当。
3件目の会計事務所で、弊社代表である渥美がGMを務める大型歯科医院の担当者となる。
当初、医業収入2億円規模だった歯科医院を、担当していた3年間で5億円以上に成長させる過程に携わった。
今までに関わった歯科医院からは、マーケティングとマネジメントを駆使して「院長個人とクリニックにお金が残るようになった!」「自信を持って経営判断を下せるようになった!」「業績が一気に回復した!」・・・などの絶大な信頼を獲得。
全国のクリニックから寄せられる経営相談に応え、東奔西走している。
趣味は、バスケットボール。