渥美 貴浩(あつみ たかひろ)
先生の「職業」は何ですか?
From:渥美貴浩(株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング)
突然ですが、質問です。
「先生の職業は何ですか?」
この問いに、多くの先生は胸を張ってこう答えるでしょう。
「歯科医師です」
と。
もちろん、その答えは間違いではありません。
しかし、もし先生がご自身の医院を経営されているのであれば、その認識だけでは、医院を大きなリスクに晒しているかもしれません。
あなたは「歯科医師」? それとも「歯科医院経営者」?
私がこれまで多くの先生方にお会いして気づいたのは、ご自身の仕事をどう捉えているかに、明確な2つのタイプが存在するということです。
1. 自分の仕事を「歯科医師」だと理解している先生
このタイプの先生は、ご自身の専門性を「歯科治療」という『技術』だと捉えています。
「インプラント治療をしています」
「矯正歯科を専門にしています」
といった意識が強く、臨床スキルの研鑽には非常に熱心です。
2. 自分の仕事を「歯科医院経営」だと理解している先生
一方、こちらの先生は、ご自身の専門性を
「歯科医院を経営すること」
だと捉えています。
「インプラント治療を強みとした医院を経営しています」
「親子三世代が通える歯科医院を経営しています」
というように、身につけたスキル(歯科治療)を使ったビジネスを『経営』することが仕事である、という明確な認識があります。
この二つの意識の違いは、些細なことに思えるかもしれません。
しかし、医院の存続と成長を考えた時、ここが決定的な分かれ道となるのです。
「いつから経営者になるのか?」という危険な問い。
特に個人事業主として開業された先生に多いのですが、
「自分は経営者だ」
という認識が希薄なケースが散見されます。
「うちはまだ法人じゃないから」
「ユニットも数台だし、こじんまりやっているだけだから」
そうおっしゃる先生方に、私はいつもこうお聞きします。
「では先生、医院がどの段階になったら、ご自身を経営者だと認識されるのですか?」
医業収入が1億円を超えたら? 2億円になったら?
スタッフが5人になったら? 10人を超えたら?
医療法人になった瞬間からですか?
…もうお分かりですね。
どこからが経営者で、どこまでは違う、などという境界線は、どこにも存在しないのです。
開院届を出したその日から、あなたは「経営者」
そうです。
院長、理事長といった肩書とは一切関係なく、ご自身の医院を開業したその瞬間から、先生は一人の臨床家であると同時に、全責任を負う「経営者」なのです。
ということは、経営者としての勉強や心構えは、どの段階から必要になるでしょうか?
答えは一つしかありません。
「開院初日から」
です。
多くの新規開業医院が、数年で経営難に陥ってしまうという厳しい現実。
その根本的な原因は、この
「経営者としてのスタートダッシュ」
に出遅れてしまうことにあるのではないかと、私は強く感じています。
経営から逃げることは、医院の「自殺行為」に等しい。
事業が失敗する原因の9割は
「経営者の知識不足」
だと言われています。
日本の歯科医師である先生方は、本当に勉強熱心で、臨床スキルは世界トップレベルです。
手先も器用で、その技術力に疑いの余地はありません。
だからこそ、足りないのは
「経営の知識」
なのです。
そして、その知識を学ぼうとしない根本原因は、これまでお話ししてきた
「経営者意識の欠如」
に他なりません。
もし先生が、
「数字の話は苦手だ」
「スタッフマネジメントは難しい」
「マーケティングなんてよく分からない」
そう言って、経営という、院長にとって最も重要な仕事から逃げているのであれば、どうかその考えを改めてください。
あなたは、ご自身の医院を率いる経営者です。
経営の知識を持たないまま医院を運営することは、大切なスタッフと患者さんを乗せた船を、羅針盤も海図も持たずに荒波に漕ぎ出すのと同じ…極めて危険な行為なのです。
最後に、もう一度だけお伺いします。
先生は、優れた技術を持つ
「一人の歯科医師」
で終わりますか?
それとも、スタッフと患者さんの未来を守る
「卓越した経営者」
を目指しますか?

PROFILE
渥美 貴浩(あつみ たかひろ)
株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング
代表取締役社長
医業収入2億円以上の歯科医院向けにマーケティングとマネジメントをアウトソーシングする「株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング」を経営。
令和5年11月 現在。
クライアントの平均医業収入は3億2千8百万円。
1歯科医院での1ヶ月の新患数300名オーバーの実績を持つ。
また、1歯科医院での1ヶ月間のインビザライン無料相談176件獲得、全クライアント合計での1ヶ月間のインビザライン無料相談1,100件以上獲得など、自由診療マーケティングでも数多くの結果を出してきた。
スタッフ80名、医業収入9億円規模の大型歯科医院の元事務長。