川上 裕也(かわかみ ゆうや)
成長するスタッフと伸び悩むスタッフの決定的なちがい
From:川上 裕也(株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング)
歯科医院のコンサルティングで全国の現場を見ていますが、医院の規模や地域はさまざまでも、「成長するスタッフ」と「伸び悩むスタッフ」を分ける要因は、驚くほど共通しています。
それは技術の習得スピードでも、学歴でも、要領の良さでもありません。
どこに意識とエネルギーを向けているか──に違いがあります。
伸び悩むスタッフの共通点
先日、ある医院の院長からこんな相談を受けました。
「新卒で入ってきたばかりなのに、他院と給料を比べては不満を漏らし、同期の子のほうが自分より先輩たちに可愛がられていると文句を言い、先輩の指導や注意を"悪口を言われている”と言い張り、挙げ句に院長に直接電話をしてきて『同期はみんな不満があって、みんな辞めたがっている』と言い出す始末で……」
このような事例は、残念ながら決して珍しくありません。
そしてこうしたスタッフに共通するのが、自分の成果を上げることよりも、他者の評価などの情報収集にエネルギーを注いでいるという点です。
「誰がいくらもらっているか」
「誰が先生に気に入られているか」
「なぜ自分だけが注意されるのか」
「他の医院とちがうのはなぜなのか」
──そうした情報をいくら集めても、自身の技術は一切上がりませんし、患者さんからの信頼も積み上がることはありません。
結果、さらに自身の評価を下げている。しかし、そのことにさえ気がついていません。
成長するスタッフの「意識の方向」
一方、現場で確かな成長を見せるスタッフには別の共通点があります。
他人との比較にほとんど関心を持ちません。その代わりに
「今日の処置は昨日より丁寧にできたか」
「先輩のあの動きはどういう意図があったのか」
「医院の取り組みを進めるにはどうしたら良いか?」
という問いを、日常的に自分に向け続けています。
他人と比べることにはエネルギーを使わず、自分の成長や他者への貢献に使う──
そのちがいが、3年後・5年後に圧倒的な差となって現れてきます。
「可愛がられている」のには理由がある
「同期のあの子のほうが可愛がられている」という不満は、現場で時折耳にします。
ただ、よく観察すると、「可愛がられているスタッフ」には必ずそれなりの理由があります。
小さな報告・連絡・相談を欠かさない。
先輩の指示を素直に受け取る。
ミスをしたとき言い訳より先に改善策を口にする。
そうした積み重ねが、信頼という形で返ってきているケースがほとんどです。
それを「えこひいき」と片付けてしまうスタッフは、きっとどの医院に移っても同じ不満が繰り返されます。
「ダメ出し」と「指導」を混同する人がいるリスク
先輩からの注意や指摘を「悪口を言われている」と受け取るケースも、伸び悩むスタッフによく見られるパターンです。
「文句や不満ばかり言われている」
「私にだけ厳しい」
「もっと丁寧に教えてほしい」
ただ、現場の実態として、注意されるということは、「ちゃんと見てくれている」ということですし、知らないことやできないことを先輩がフォローしてくれているわけです。
「もっと良くなってほしい」から指導をしているのであって、誰も見込みのない人間にわざわざ時間を使って指摘する先輩はいません。
その機会を自身の成長に変えられるか、不満の材料にしてしまうか。
そこもまた、成長するスタッフと伸び悩むスタッフを分ける分岐点のひとつです。
職場全体を巻き込む行動はやがて組織の機能不全を起こす
今回の事例で特に深刻だったのは、個人の不満が単なる愚痴にとどまらず、同期への扇動へと発展していた点です。
歯科医院はチーム医療の場です。
受付・アシスタント・歯科衛生士・ドクターが同じ方向を向いているからこそ、患者さんに質の高い医療が届けられます。
ここに、不満を持つ個人が「ネガティブスピーカー」となって、周囲にネガティブな情報を意図的に流したり、感情的に扇動したりする空気が持ち込まれれば、現場は最悪の形で疲弊してしまいます。
現場の空気が悪くなるだけでは済みません。
優秀な人材のモチベーション低下による流出を招き、医院が本来目指すべき取り組みも全く進まなくなる、といった事態に直面します。
これは医院にとって、計り知れないほど大きな損害を与えかねない、深刻な経営課題です。
普段からよく喋り不満を外に向ける人、口数は少なくても地道に頑張る人
給料や人間関係への不満を、普段からよく喋り、外に向け続けるスタッフがいます。
その「声の大きさ」や自己主張の強さに、院長先生もつい意識やエネルギーを引っ張られてしまうことがあるかもしれません。
しかし、本当に目を向け、大切にすべきなのはそこではありません。
院内には、口数は少なくても、環境のせいにせず、今ある場所で地道に目の前の仕事と向き合い、努力を積み上げているスタッフが必ずいます。
医院の未来を共に創り、チームの土台を支えるために、どちらが本当に必要な人材であり、評価すべきスタッフなのかは明白です。
声の大きな不満に振り回される必要はありません。
寡黙であっても実直に頑張るスタッフにこそ、院長先生の貴重な時間とエネルギーを注ぎ、正当な評価をする。
やがて院長のイメージする組織を作るために必要不可欠な人材になるでしょう。
PROFILE
川上 裕也(かわかみ ゆうや)
株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング
コンサルティング部門 医業収入アップ シニアコンサルタント
北九州市立大学卒業後、4つの会計事務所で約20年間、経営者の良きパートナーとして200件以上のクライアントを担当。
3件目の会計事務所で、弊社代表である渥美がGMを務める大型歯科医院の担当者となる。
当初、医業収入2億円規模だった歯科医院を、担当していた3年間で5億円以上に成長させる過程に携わった。
今までに関わった歯科医院からは、マーケティングとマネジメントを駆使して「院長個人とクリニックにお金が残るようになった!」「自信を持って経営判断を下せるようになった!」「業績が一気に回復した!」・・・などの絶大な信頼を獲得。
全国のクリニックから寄せられる経営相談に応え、東奔西走している。
趣味は、バスケットボール。
