マインドセット


From:川上 裕也(株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング)

経営者やマネージャーにとって、スタッフとのコミュニケーションは業務の円滑な遂行だけでなく、組織全体の成長に直結する重要な要素です。しかし、スタッフとのコミュニケーションの中で「反論」や「意見」を受けるという状況があると思います。あなたはその時どのように対応されているでしょうか?

相手に反論をされてしまうと、ついこちらも意見を返してしまったり、お互いに納得ができないままモヤモヤして話が終わったりすることがあるので、反論や意見をされることをあまりよく思わない人もいると思います。

しかし、意識的にスタッフに反論をさせる(反論を促す)こと、そして自分自身も反論を受け入れる姿勢を持つことができると、組織活性化や経営の成功に一歩近づくことができると思います。

部下に反論させることの意義とは?

では、スタッフに反論をさせることで何が良いのか?

それは、その人が持つ「思考の深さ」を知ることができるということです。このことがとても重要で、ただ「はい」「わかりました」と答えさせるだけでは、そのスタッフが本当に何を考え、どの程度理解しているのかは見えてこないからです。

反論や意見、質問などをさせることで、スタッフが自らの考えを組み立て、あなたの意見と照らし合わせながら思考や論理を深めていくようになります。

また、このとき経営者やマネージャーは頭ごなしに自分の意見を押し通すのではなく、反論を受け入れ、「このスタッフはなぜそう考えたのかな?」と考え、その思考プロセスを一緒に追いかけてあげることが大切です。

相手の思考プロセスや深さが正しく理解できると、案外「こちらの意図がうまく伝わってなかったな」「この人は本当はこれが嫌なんだな」「こう言いたかったんだな」と気づきが得られます。そうすると、コミュニケーションの「取っ掛かり」を得ることができるので「こちらの意図はこうなんですよ」「じゃあ、こうすると良いですか?」など話を展開しやすくなります。

また、「はい」「分かりました」「質問は特にありません」しか言わない、いわゆる「イエスマン」と呼ばれるスタッフには注意が必要です。彼らは一見、従順で仕事ができるように見えることもありますが、思考が浅く、指示された内容を表面的にしか理解していない場合があります。その結果、こちらの意図を汲めておらず、業務のミスや患者様とのコミュニケーションのミスをしてしまうことが少なくありません。

反論や意見、質問をすることを避ける傾向があるスタッフは、普段から積極的に業務に関わらない傾向があります。反論も意見もすることなく、自分の保身には労力を惜しまない、自分ができる仕事だけをやっておきたい──そんな態度のスタッフが多くなると、組織全体の生産性が下がってしまいます。

これらのことから、どのスタッフにもしっかり自分の意見を考えて発言してもらうことを促すことはとても重要になります。

「反論ができる」文化が組織を強くする

ビジネスで長期的な成功を達成するうえで、社内外の関係者と建設的な反論や議論ができる環境であることは理想です。

反論や意見を言う事は決して対立ではなく、「双方の意見を深めるためのプロセス」と考えるとよいのではないでしょうか。それをお互いに理解し、反論ができる環境がある組織は強い信頼関係を築くことができると思います。

部下に反論や質問を促してみることは、彼らの成長・考える力を身につけることをサポートすることになりますし、あなた自身の考えをさらに進化・深化させる機会にもなります。

さらに自分自身で「このことにはどんな反対意見があるだろうか」と日頃から考える習慣があると、スタッフとのコミュニケーションを自信を持って円滑に進められるようになるでしょう。

反論を避けるのではなく、それを日常的に活用すること──これが組織を活性化し、経営を成功へ導くひとつの鍵になると思います。



川上 裕也(かわかみ ゆうや)

株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング
コンサルティング部門 医業収入アップ シニアコンサルタント

北九州市立大学卒業後、4つの会計事務所で約20年間、経営者の良きパートナーとして200件以上のクライアントを担当。

3件目の会計事務所で、弊社代表である渥美がGMを務める大型歯科医院の担当者となる。

当初、医業収入2億円規模だった歯科医院を、担当していた3年間で5億円以上に成長させる過程に携わった。

今までに関わった歯科医院からは、マーケティングとマネジメントを駆使して「院長個人とクリニックにお金が残るようになった!」「自信を持って経営判断を下せるようになった!」「業績が一気に回復した!」・・・などの絶大な信頼を獲得。

全国のクリニックから寄せられる経営相談に応え、東奔西走している。

趣味は、バスケットボール。

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