マーケティング

From:氏家 楓(株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング)


「ペルソナ」の落とし穴

マーケティングの事前準備として「リサーチ」は欠かせません。どれだけ凝った広告を打とうとも、自社商品・競合他社・ターゲット・マーケットについて理解を深めておかなければ「キレイな広告だけど、興味はわかない」という結果に終わってしまうことでしょう。

このうち、ターゲットを理解するためによく行う手法として「ペルソナ設定」があります。

ペルソナとは、「その商品・サービスを利用する代表的なユーザー像」のことです。

一人、または数人架空の人物を想定して、その人の年齢や性別、職業や家族構成、住んでいるところ、趣味などのプロフィールを詳細にイメージしていきます。

ペルソナ設定については、多くの方が一度は耳にしたことがあるかもしれません。しかし、間違ったペルソナ設定をしてしまうと、可能性を大幅に狭めてしまう可能性があります。

例えばあなたの医院のある商品(治療)について、ペルソナを設定する際にこんな考え方をしていないでしょうか?

<商品A>のペルソナ

◆33歳、女性
◆既婚者
◆夫と二人の子供(小学1年生・年少男児)がいる
◆医院の近隣にある一戸建てに住んでいる
◆上の子供の歯並び(出っ歯)が気になり始めている

・・・非常に一般的なペルソナ設定ですよね。例えばこのペルソナに対して「小児予防矯正」のマーケティング戦略を練るとどうなるか?ターゲットを狭めすぎて、反応数が極端に減る可能性があるのです。

「子どもの口腔内」について悩みを抱えている人は本来、多種多様なはずです。

例えば年齢は20代~40代後半だったり、専業主婦だったりフルタイムで働いていたり、結婚していたりそうでなかったり、医院からは少し離れたところに住んでいたり、子どもの年齢も違えば症状もそれぞれです。少し想像しただけで様々な人がいることが分かるでしょう。

「小児予防矯正」のターゲットとなりうる人のうち、先ほどのペルソナ設定と共通する要素はごく一部にすぎません。唯一共通するのは「子どもの歯」について何かしらの悩みを持っているということだけです。

全てが一致する方なんてほとんどいませんし、たとえいたとしても、その方たちしかターゲットにできないのであればマーケットとして成立しません。

「子どもの歯」という、核となる要素以外の条件が増えれば増えるほどに、ペルソナに共感する人が減っていくと考えるべきです。

商品(治療)のペルソナ設定は、【USP(独自の強み)】や【ベネフィット(得られる利益)】を起点に、最大公約数的に設定すべきであって、今回の例では「子どもの歯」を起点に考えなければなりません。

そうでなければ、ターゲットへの共感性が失われ、自院の商品(治療)のマーケットを縮小させてしまうことになるのです。

▼USPについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ユニーク・セリング・プロポジション=独自の売り

では、従来の「ペルソナ設定」は意味がないのか?

ここで、一つ注意しておきたいのは「細かくペルソナを決めるのは意味がない」ということではありません。

冒頭で挙げたようなペルソナ設定は、「メディア(情報発信)」という場面においては非常に有効に働きます。

例えば、クリニックのブログなどで、冒頭で設定したペルソナに向けて「30代からメインテナンスを始めるメリット」という記事を投稿した場合、たとえ33歳でなくても子供がいなくても、該当するユーザーは喜んで読んでくれます。

他にも「県内で一番治療実績が多い」という記事を投稿すれば、地元の方なら未婚でも既婚でも読者のターゲットになります(あくまで例です)。

そう、メディアにおいては、ペルソナ設定の条件に「一つでも」当てはまれば顧客ターゲットになりえるのです。ペルソナ設定の条件が多いほど、ターゲットが広がるという現象が起こるということです。

同じ「ペルソナ」であっても、商品(治療)の可能性を広げるためのモノなのか、メディアとしてターゲットを広げるためのモノなのかを混同せず、しっかりと理解して活用することが必要です。

自院の広告が、知らず知らずのうちに自分で自分の首を絞めていないでしょうか?



氏家 楓(うじいえ かえで)

株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング
マーケティング部門 セールスライター

首都大学東京(旧:東京都立大学) 卒業後、大手マーケティング会社にて10年間セールスライターとして活躍。

自らがライティングしたセールスレターが社内における売上レコード(3日間のキャンペーンで2,600万円)を達成した実績を持つ。

当時勤めていたマーケティング会社のセールスライター育成講座の講師をしていた際に、受講生だった渥美社長と知り合う。

セミナーの休憩中にもオンラインセミナーを受講する渥美社長のストイックな姿勢に尊敬の念を抱き、懇親会で意気投合。

渥美社長が独立すると同時に、株式会社 歯科専門 集患アウトソーシングに入社。

トップページのライティングをしたクライアントの新患増加率は平均で 163%(月間最多新患数 344名) 。
また、矯正無料相談では1ヶ月間で 176名 の来院を達成した。

その実績から、
「歯科業界最高のセールスライター」
との呼び声が高い。

趣味は、海釣りとプロレス観戦。

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