マネジメント


From:原 浩恭(株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング)


2割引と2割増量。

どちらもよく耳にする言葉ですが、この二つの方法は利益の額で驚くほど異なる結果になります。値引きがいいのでしょうか。増量がいいのでしょうか。二つの方法についてお話ししていきます。

普段は歯科医院を経営されている院長先生も今だけはハンバーグ屋さんを経営するオーナーです。

オープンして3年。ありがたいことにお昼どきには今も行列ができる人気店です。人の行き来も多い場所で立地的に問題はないのですが、その分新規出店も多く常にライバルが現れては消えてと油断できない状況が続いています。

そろそろ何かテコ入れしておきたいな。オーナーであるあなたは考えていました。

そこで翌日アルバイトのA君とB君に次のように聞いてみます。

「何かキャンペーンを打ってお客さんを増やしたいんだけど良い作戦ないかな?」

二人ともしばらく考え、まずはA君が次のように提案してきました。

「値引きがいいんじゃないですかね?」

「例えば、ハンバーグ20%引き!」

「絶対来るでしょ!」

A君は自信満々です。そこにB君も案を出してきました。

「いや、値引きじゃなくて増量の方がよくない?」

「例えば、ハンバーグ20%増量!」

「この方が来るね!」

「いや、20%引きっしょ。」「そこは増量なんだって。」

二人の話はまとまりそうにありません。ひとまず二人にお礼を伝え今日のところは家に帰ってからゆっくり考えてみることにしました。

あなたはA君とB君どちらの意見を採用しますか?

数字の面だけで考えていきましょう。ハンバーグの損益計算書です。

ハンバーグ1食1,400円
販売数100食
原価率30%

このシンプルな条件で考えてみます。

売上 140,000円
原価  42,000円(原価率30%)
粗利  98,000円(1食あたり980円)

次に20%引きの場合です。ハンバーグ1食1,120円です。

売上 112,000円
原価  42,000円(原価率37.5%)
粗利  70,000円(1食あたり700円)
※値引き前の粗利を確保するには140食販売しなければなりません。

最後に20%増量の場合です。ハンバーグ1食は1,400円のままです。単純に原価が1.2倍になると仮定します。

売上 140,000円
原価  50,400円(原価率36%)
粗利  89,600円(1食あたり896円)
※値引き前の利益を確保するには110食販売しなければなりません。

キャンペーンの目的はお客さんを増やして利益を増やすことです。まずは一定数以上にお客さんが増えなければキャンペーンは失敗だったことになります。値引きだと客数が140%以上にならないと失敗です。増量だと110%以上。リスクは最小限にしてチャレンジしたいと考えると20%増量キャンペーンがよさそうです。

ローソン 盛りすぎチャレンジ
https://www.lawson.co.jp/lab/tsuushin/art/1478886_4659.html

ダイソー 増量キャンペーン
https://daiso50th.com/daisoretakotoyaruka/bonus-campaign5/

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実は私たちの身の回りも増量であふれています。値引きは最も簡単ですぐに取り組める方法ですが、お客様は商品自体の価値を値引後の金額で判断するようになる傾向があり、正規の金額に戻す際に割高感を感じさせ客足が遠のくといった問題を生じさせることがあります。企業にとっても利益率低下をともなう体力勝負の方法であり失敗した際のダメージも大きいです。

今回は数字の面だけでしか値引きと増量の効果を検討していませんが、値引きを行う際は当初以上に利益を確保できているかを検証しながら行っていただけるといいかもしれません。

A.P.O.managerでは歯科医院の収益を見える化し、収益向上に直結するポイントを数字で明らかにしていきます。ここで大切なのは、その明らかになった数字をどう読むか、その数字をどう捉えるかどう扱うかはその数字に接する人次第ということです。私たちコンサルタントは日頃から多くの歯科医院の数字に接し、最短最速で最大の効果があがるポイントを研究しています。もしあなたの歯科医院の収益がよくわからない理由で上がっている下がっているのであれば、その理由はA.P.O.managerを使うことで明らかになるでしょう。





原 浩恭(はら ひろやす)

株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング
コンサルティング部門 医業収入アップコンサルタント

明治大学卒業。

歯科医院を数多く顧問に持つ税理士法人2社に在籍後、株式会社歯科専門集患アウトソーシングに入社。

前職では歯科医院専門担当者として年間医業収入が2億円を超える歯科医院を数多く担当し、歯科医院が成長していく過程を熟知している。

得意分野はA.P.O.manager(経営数値管理ソフト)を使ったデータ分析。課題を把握して確実に成果を狙っていく。

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