マネジメント

ぼかしが入った青いチャート

歯科医院経営を安定させるとは。売上高の下落率と上昇率の関係を例に歯科医院経営を分析していきます。

なぜ保険診療収入を柱にしていくべきなのか。数字を追いかけながら見ていきましょう。

下落率と上昇率

株の話ではなく経営の話です。

経営の話をしていると、前期比108%や前期比96%といった数字を耳にすることがあります。

例えば、売上が前期比90%といった場合、前期の売上は1億円で当期は9,000万円だったことになります。

10%の減収です。

これを元の1億円に戻すために翌期頑張るわけですが、そのパワーは10%分の増収では足りません。

11.111111…%分必要になります。

9,000万円×1.111…=1億円

前期比30%の減収の場合、前期の売上1億円に対して当期は7,000万円です。

もちろん元に戻すには30%の増収では足りません。

7,000万円×1.3=9,100万円

元の1億円に戻るには30%ではなく43%の増収が必要です。

より大きな減収ではどうでしょうか。

80%の減収で1億円が2,000万円になった場合、1億円に戻るにはなんと400%もの増収が必要になります。

減収幅を抑えるには?

減収する前の収益に戻るには減収率以上の増収率が必要になります。落ちる時以上に元に戻るのはパワーも時間も必要になります。

一方でこのことは、減収幅を抑えることさえできれば増収率も小さくて足り、元の収益に戻るのも早くなることを意味します。

これはとても重要なことです。

減収幅を抑えることが経営の安定に繋がりそうです。そのための方法としては、収入源を複数持っておくことがあげられます。

保険診療収入、自由診療収入、物販収入、医療以外にも不動産収入等クリニックから独立した収入源を用意しておくことも重要です。医療以外にも収益の柱を準備しておくことで分散効果が働き、特定の収入源の減収の影響を相対的に下げることができます。

自由診療だけに注力していると自由診療が大幅減収となった際に、クリニックの収入全体が大きく減収することになります。

自費のみで1億円の収入をあげている医院が世の中の経済事情などにより自費が20%減収となってしまった場合、2,000万円の減収で8,000万円になります。元に戻るのに自費で25%の増収が必要になります。

しかし、保険7,000万円、自費3,000万円の医院が同様の影響で自費が20%の減収となっても、600万円の減収でしかなく全体の収益は9,400万円で下げ止まります。ここからの挽回であれば保険と自費合わせて6.4%の増収で足ります。

9,400万円×1.064=1億円

ところで、複数の収入源を持つ際にどれでも構わずその収入を厚くすればいいわけではありません。

収入を安定化させるためには、まず保険診療による収入を厚くするべきです。

保険診療は自由診療に比べて収益の変動幅が小さくなる傾向があります。実際、保険診療収入は、正しく取り組み一度高めればそう簡単に急落することはありません。

安定した保険診療収入を医院の収入源の柱として早期に獲得できるかが歯科医院経営安定の肝になります。

数字の面から見ても保険診療を厚くすることで歯科医院経営は安定するのです。

A.P.O.managerでは歯科医院の収益を見える化し、収益向上に直結するポイントを数字で明らかにしていきます。ここで大切なのは、その明らかになった数字をどう読むか、その数字をどう捉えるかどう扱うかはその数字に接する人次第ということです。

私たちコンサルタントは日頃から多くの歯科医院の数字に接し、最短最速で最大の効果があがるポイントを研究しています。

もしあなたの歯科医院の収益がよくわからない理由で上がっている下がっているのであれば、その理由はA.P.O.managerを使うことで明らかになるでしょう。



原 浩恭(はら ひろやす)

株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング
コンサルティング部門 医業収入アップコンサルタント

明治大学卒業。

歯科医院を数多く顧問に持つ税理士法人2社に在籍後、株式会社歯科専門集患アウトソーシングに入社。

前職では歯科医院専門担当者として年間医業収入が2億円を超える歯科医院を数多く担当し、歯科医院が成長していく過程を熟知している。

得意分野はA.P.O.manager(経営数値管理ソフト)を使ったデータ分析。課題を把握して確実に成果を狙っていく。

この執筆者の記事