マネジメント


From:原 浩恭(株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング)


古びた商店街の近く
銀色の丸い取手の重たいガラスのドア
下駄箱があり、靴を脱いでスリッパに履き替える
キーンという音
独特の匂い

「最近の歯科はみんなおしゃれだね」そう言いながら待合室のソファーに座る院長先生。
閉院までのカウントダウンが始まっている院内で今後の打ち合わせをした前職の税理士事務所時代の記憶です。

街なかで見かけることが少なくなった昔ながらの歯科医院。
すぐ近くには最新の医療機器を導入し綺麗な外観と内装で開業してきた歯科医院があります。

開業して5年、10年、15年、20年と経ち、開業時には最先端だった医療機器も院内システムも、そして仕事の仕方さえも古くなっていきます。
このあたりは古い歯科ばかりだからね!と言って開業したあの時からもう何年も経ち、いつの間にか自分の方が古い歯科医院になりはじめています。

何を変え、何に取り組めば良かったのか。
ずっと自分たちだけで仕事をしていると自分たちを取り囲む環境の変化に気づけなくなるのでしょうか。

違います。

みなさんは気づいています。ああそうなんだと、やらなきゃいけないんだねと。
ただ、やれないのです。

私たちは潜在的に変化を嫌う生き物のようです。
私も、先生も、スタッフも、患者さんも、全員です。

ー変わりたくないー

この当然生まれてくる気持ちに押され私たちは開業当初のままのやり方を続けてしまいます。
診療についての変化は院長先生にとって”大きな変化”になります。
私たちは変化を好む好奇心も持ち合わせているのですが、この”大きな変化”に対してはどうしても変わりたくないという気持ちが強く出てしまうためこのようなことになってしまうのです。

紙の予約台帳。
新規開業の歯科医院で紙の予約台帳を用いることはなくなっています。
3ヶ月ごとに初診を算定。
メインテナンスの定番は長期管理がスタンダードになっています。
歯科衛生士は院長先生の合間や後に歯のお掃除。
開業時から歯科衛生士の担当制を採用し予防に取り組む歯科医院が増えてきました。
か強診は一部の先生だけの話。
か強診の届出済割合が20%台半ばを超える県も出はじめ4件に1件の割合に到達するのも時間の問題です。

今のままでいいや
わからないから
面倒臭いし
それよりも今日の予約今日の患者

「そう思って続けてきたんだよね。」

メリメリっと音をたて年季が入ったソファーに座り直しながらその院長先生は仰っていました。
時代が良かったこともありギリギリ問題のないリタイアを迎えることができましたが、
また同時に「それでもね、もう少し新しいことにチャレンジしても良かったかもしれないね。」とも仰り院内を眺めていました。
リタイア数年前から担当者として関与させていただいた歯科医院だったのですが、やり方によってはもっと資金が潤沢にあるリタイアという人生を歩めたかもしれないと思うと何とも言えない気持ちになったのを覚えています。

まさに今、開業医として活躍されている先生の多くはまだ20年30年と診療を続けていかなければなりません。
その間には多くの新規開業の歯科医院が診療圏内に誕生してくることでしょう。
医院のスタッフは定期的に結婚などで退職していくでしょう。
借入金が減ってきたと思えば医療機器等の設備投資の更新時期となりまた銀行から借りなければならなくなるでしょう。

いま良ければ安泰と言えるのでしょうか。
いま戦えているから来年も10年後も戦えると言えるのでしょうか。

これから開業してくる先生たちは並々ならぬ気合と多額の借入金を背負った状態で死ぬ気で挑んできます。
彼らはか強診は取得して当然、歯科衛生士は担当制で当然、という状態で開業してきます。
このような競争環境では自分たちが現状維持でも相対的にその順位は下がっていきます。
大切なことなのですが、これは医業収益の減少を招くということです。

年間医業収益4,000万円の歯科医院を20年間続けるチャレンジより、8,000万円の歯科医院を10年間続けるチャレンジの方が成功する確率が高い。
このことを覚えておいてください。
どちらも累計医業収益は8億円ですが8億円達成までに必要とする期間が異なります。

競合歯科医院の開業や採用など環境内に不確実なことが多く、開業した瞬間から古い歯科医院になっていくこの状況においての生存戦略は、
・早く収益をあげる
・早く現預金を増やしておく
この2点しかありません。必要資金(今日廃院になっても子供の学費と夫婦で老後まで生活していける目処がつく金額)確保のために戦わなければならない期間を短くする。
そして晴れて今後の資金繰りに目処がついた時、その時はじめて思う存分にご自身のされたい診療をご自身のペースでされるのがいいです。

私たちは、この過酷な競争環境の中で孤軍奮闘されている先生のそばに寄り添いその戦いに参戦していきます。
年間医業収益が4,000万円だから6,000万円だからこれが20年間続けばという計算は成り立ちません。
変わらない限り相対順位は下がり続け医業収益もどんどん下がっていきます。
新規に開業してくる先生たちに負けないためにも応戦する体制を整え、今以上の年間医業収益を目指し頑張っていきましょう。

A.P.O.managerでは歯科医院の収益を見える化し、収益向上に直結するポイントを数字で明らかにしていきます。ここで大切なのは、その明らかになった数字をどう読むか、その数字をどう捉えるかどう扱うかはその数字に接する人次第ということです。私たちコンサルタントは日頃から多くの歯科医院の数字に接し、最短最速で最大の効果があがるポイントを研究しています。もしあなたの歯科医院の収益がよくわからない理由で上がっている下がっているのであれば、その理由はA.P.O.managerを使うことで明らかになるでしょう。



原 浩恭(はら ひろやす)

株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング
コンサルティング部門 医業収入アップコンサルタント

明治大学卒業。

歯科医院を数多く顧問に持つ税理士法人2社に在籍後、株式会社歯科専門集患アウトソーシングに入社。

前職では歯科医院専門担当者として年間医業収入が2億円を超える歯科医院を数多く担当し、歯科医院が成長していく過程を熟知している。

得意分野はA.P.O.manager(経営数値管理ソフト)を使ったデータ分析。課題を把握して確実に成果を狙っていく。

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