マーケティング


From:松本 真由美(株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング)

2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンは、自著「ファスト&スロー」で人間の脳には「ふたつの思考」があると主張しました。

この「ふたつの思考」とはそれぞれどういう思考なのか、そして、それがどのようにセールスライティングと関わるのか、本稿でお話ししたいと思います。

人間は「ふたつの思考」で物事を決定する

ダニエル・カーネマンは、人間の思考が、

システム1:物事を直感的に判断する思考
システム2:物事を論理的に分析し判断する思考

のふたつの思考で意思決定をすると自著で述べました。

システム1:直感的判断

カーネマンによると、ほとんどの人間は、多くの物事を過去の知見や経験をベースに直感的に決定(システム1優位)しています。

そして、このシステム1の思考は、人間の進化の過程の中で、太古から育まれてきた思考システムであると言われています。

たとえば、はるか昔の狩猟時代、多くの人類が自然の危険と隣り合わせに生きていたころ、危険をいち早く察知し、回避するための瞬発的な思考が生き残るためには必要だったはずです。

現代の都市生活においても、このシステム1が優位に働くことが多いのは、人類が逃れられない楔のようなものなのかもしれません。

システム2:論理的判断

そして、狩猟採集から食糧生産へ人類が舵を切ったころから、物事を論理的に分析し、将来を見通した上で意思決定する「システム2:論理的判断」という新しい思考様式が人類の中で発展していきました。

文明化が進んだ社会では、直感的な対処ではなく、より良い効率を求めて、最良の選択肢を選びだす思考が必要とされたのです。

しかしながら、システム2によってシステム1が完全に淘汰されるということはなく、現代を生きる我々の中でこのふたつの思考は半ば共存をしています。

セールスライティングと「ふたつの思考」

この「ふたつの思考」は、セールスライティングに多大な影響を与えます。

それは、セールスライティングが、読む人の行動を促すために直感・論理に訴えかけるものだからです。

人間がどのように物事を決定するのか、それを理解しなければ読む人の意思決定を促すことができないのは当然の帰結です。

そして、セールスライティングは、システム1・システム2両者に強く働きかけなければ成功はできません。

なぜなら、システム1にのみ働きかける文章はフックが強いだけで決め手に欠け、反対にシステム2にのみ訴える文章は知的ですが人の心を動かせません。

ですから、セールスライティングでは、「ふたつの思考」のどちらとも掴まなければいけないのです。

「ふたつの思考」を刺激するための文章

今回は、人間の意志を決定する「ふたつの思考」とセールスライティングの関係についてお話ししました。

次回は、どのような文章ならこの「ふたつの思考」に訴求できるのか、解説していきたいと思います。


三鬼 明香(みき あすか)

株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング
マネジメント部門 マネジャー
歯科衛生士

この執筆者の記事