三鬼 明香(みき あすか)
アリストテレスのライティング術
From:松本 真由美(株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング)
セールスライティングの手法のひとつに「ストーリーテリング」というものがあります。
セールスライティングの中に、読む人へ共感を与える物語を織り込むことで強い印象を残すこの手法は、あらゆる広告で用いられています。
しかし、ストーリーを紡ぎだすことは容易ではありません。
登場人物や状況の掘り下げが浅いと陳腐な印象を与える文章となってしまい、逆効果を生みかねないからです。
ストーリーテリングの書き方については、西洋最大の哲学者、アリストテレスが優れた著述を遺しています。
アリストテレスの著作「詩学」で彼が論じた物語の構成要素についての記述は、もともとは演劇のために書かれたものでありながらも、現代のストーリーライティングでも多いに活用できるものです。
本稿では、そのアリストテレスの「物語の構成要素」についてお話します。
アリストテレスの物語の構成要素
1. プロット
プロットとは、ストーリーの大筋のことを指します。そのストーリーに登場する人物がいかにして問題を解決したのか、または、人々がどのように自らの人生を失敗に陥らせたのかという物語全体の流れのことです。
2. 登場人物
登場人物の背景、欲求、主義志向はなにか?ストーリーが共感を生むかどうかは、ライターがいかに見込み客としてのターゲットを理解して、彼らから共感を得る登場人物を作りこむことができるかにかかっています。
3. テーマ
そのストーリーが言わんとすることを一言で表すのがテーマです。
登場人物は、なぜそのような行動をとるのか?登場人物が乗り越えるべき最大の障害や目標が相手に共感を生むことができるかどうかで、ストーリー全体の強さが決定します。
4. 対話
登場人物たちの対話は、ストーリーに深みを与える上で重要な要素です。
だからこそ、登場人物たちの間で行われる対話、登場人物の内心で自己に向けて行われる対話は、注意深く書く必要があります。
登場人物たちの喜びや悲哀、落胆を注意深く記述すれば、ストーリーに感情が生まれより共感を生む文章になります。
5. 見せ場
読む人に冗⾧に感じさせるストーリーでは、共感を生むどころか最後まで読んでもらうことすらかないません。
ストーリーにひねりはあるか、何か意外な気づきがあるか、読む人をはっとさせるような鋭い洞察から生まれた教訓はあるか、ストーリーにそれらの見せ場があれば、読む人をひきつける強力な訴求ポイントとなります。
以上、ストーリーテリングの手法を使うにあたって大いに参考になる、アリストテレスの「物語の構成要素」についてご紹介いたしました。
ストーリーテリングは、非常に訴求力の高い文章を生む強力な手法ですが、その使用にあたっては慎重に物語を構築していく態度が必要になります。
そんなとき、アリストテレスの「物語の構成要素」に沿ってストーリーを作りこんでいくと登場人物やその背景のレイヤーを作りこむことができます。
PROFILE
三鬼 明香(みき あすか)
株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング
マネジメント部門 マネジャー
歯科衛生士