マネジメント


From:川上 裕也(株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング)

腕はいいのに、患者が続かない

ある医院で技術も知識も院内で一番と言っていい先生がいます。
形成は丁寧だし、勉強熱心で、休みの日も学会に出かけている。
ところが、担当患者の継続率がいちばん低いのです。
治療が終わったら離脱してしまう。

自費の成約率も低い。
本人に聞くと「毎回説明はきちんとしています」と言います。
実際、説明そのものは正確です。

しかし、ある日、患者様とのやり取りを横で聞いていて気づきました。
彼は

「自分が説明したいこと」

を話していて、

患者さんが「何を希望しているか」「何が嫌なのか」

を一度も聞いていなかった。
これは能力の問題ではなく、視点の問題だと思いました。

ある段階までは知識と技術

誤解のないように書いておくと、私は技術軽視の立場ではありません。むしろ逆です。

一定の段階までは知識と技術が間違いなく必要です。
新人の一年目に必要なのは、コミュニケーション研修よりまず基本手技の反復だと思います。
歯科衛生士も受付も同じで、まず仕事が正確にできること。これが土台になります。

土台のない人が「結局コミュニケーションが一番大事だから」と言い出すと、それはただの言い訳になりがちです。

ただし、技術には天井がある

問題はその先です。

一定の水準を超えると技術の差は成果の差に直結しなくなります。
地域の同規模の医院を思い浮かべてみていただきたいのですが、
Drの腕の差が、そのまま医院の業績の差になっていないはずです。

一定の水準、そこから先で差がつくのはヒューマンスキルの領域です。

患者さんの不安を想像できるか。
言葉の裏を読み取れるか。
表情などからサインを読み取れるか。

つまり、この段階の仕事は、対象がすべて「自分以外の他者」になってくるということです。

そして厄介なことに、技術で伸びてきた人ほどこの切り替えでつまずきやすい。
それまでの武器が通用しなくなっているのに、「自分はできている」という感覚だけが残るからです。

分かれ目は「視点がどこにあるか」

仕事ができる人とできない人を分ける線は、結局ここだと思っています。
自分視点で止まるか、他者視点に立てるか。

自分視点の人の口ぐせは決まっています。

「私がやってきたやり方と違う」
「自分には理解できない」
「みんな、そうやっているのでは」
「普通そうは考えないのでは」

判断の基準が、全部自分の中にある。
だから経験の外に出られません。

他者視点の人は、まず相手の中に基準を置きます。

この患者さんは何を期待しているのか。
何か誤解していたり、バイアスが強くかかっている状態ではないのか。
以前に何か不信感を抱くような治療経験をしてきているのでないか。

自分ならどう考えるか、はいったん脇に置く。
相手は何を考え、何を思っているのかを考えてみる。

経営もマネジメントも集患も対象は全部「他人」になります。
つまり自分の中にある答えが、すべてに当てはまることは基本的にありえない。

土台の上に、視点を積む

技術が不要になるわけではありません。土台であり続けます。
ただ、土台だけでは高さは出ない、ということです。

技術で信頼をつくり、他者視点を自分の中に取り入れる。
技術や知識の次に磨くべきものは、他人の頭の中を想像し、
「相手がどう受け取るか」を考えてコミュニケーションを取れる能力です。

それが成果を上げる人とそうならない人の差です。



川上 裕也(かわかみ ゆうや)

株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング
コンサルティング部門 医業収入アップ シニアコンサルタント

北九州市立大学卒業後、4つの会計事務所で約20年間、経営者の良きパートナーとして200件以上のクライアントを担当。

3件目の会計事務所で、弊社代表である渥美がGMを務める大型歯科医院の担当者となる。

当初、医業収入2億円規模だった歯科医院を、担当していた3年間で5億円以上に成長させる過程に携わった。

今までに関わった歯科医院からは、マーケティングとマネジメントを駆使して「院長個人とクリニックにお金が残るようになった!」「自信を持って経営判断を下せるようになった!」「業績が一気に回復した!」・・・などの絶大な信頼を獲得。

全国のクリニックから寄せられる経営相談に応え、東奔西走している。

趣味は、バスケットボール。

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