マネジメント


From:川上 裕也(株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング)

クレームは組織を強くする「宝の山」

「直接不満を言ってくれる患者様は、実は非常にありがたい存在です。

普通は、表面的には良い顔をしながら、内心では『こんな医院には二度と来ない』と思い、そのまま静かに離れていきます。

だからこそ、患者様からのクレームを嫌がったり、面倒くさがったりしてはいけない。

わざわざ不満を伝えてくれるのは、改善のチャンスを与えてくれているということ。

常に『患者様は言わないだけで不満を抱えているかもしれない』という緊張感を持って仕事に取り組むことが大切です。

むしろ患者様は、本音を言わないどころか、思っていることと逆のことを言いながら静かに去っていくものだ、と考えておいた方が良い。

黙って去る「サイレントクレーマー」と、伝える人の違い

医院が提供する医療やサービスに対して、すべての方が100%満足しているわけではありません。

しかし、その不満をわざわざ時間と労力を割いて言葉にして伝えてくださる方は、ほんの一握りです。

圧倒的多数の方は、不満があっても何も言いません。

表向きは笑顔で「ありがとうございました」と言って帰られたとしても、内心では「待ち時間が長すぎる」「説明が不十分で不安だった」と感じており、次からは黙って別のクリニックへ足を運ぶようになる——これがいわゆる「サイレントクレーマー」です。

不満を言わずに去っていく方からは、私たちは何も学ぶことができません。

なぜ来院されなくなったのか、その理由すら分からないまま、同じミスを繰り返してしまうリスクを抱え続けることになります。

だからこそ、厳しいご意見を直接ぶつけていただけることは、実は非常に有益であり、組織にとっての「宝の山」なのです。

「人のせい」にせず、「仕組み」の問題として捉え直す

クレームの矢面に立つ当事者にとっては、大変なストレスであることは間違いありません。

しかし、その出来事を「個人の失敗」として片付けるのではなく、「組織全体の課題」として捉え直すことで、計り知れない価値が生まれます。

ご指摘を受けるポイントを冷静に分析すると、大きく分けて次の2つの問題が浮き彫りになります。

  • システム(仕組み)の問題
  • ヒューマン(人)の問題

例えば、「予約していたのに待たされた」というお叱りがあったとします。

これは一見、「スタッフの案内が遅れた」というヒューマンエラーに見えるかもしれません。

しかし、背景を深掘りしていくと、「特定の時間帯に予約を詰め込みすぎている」「急患対応のオペレーションがあいまいで確立されていない」といった、システム側の問題が根本原因であることも少なくありません。

クレームをきっかけにこの両面を見直すことで、個人のスキルアップだけでなく、組織全体の仕組みを強固なものへと改善していくことができます。

誠実に向き合った経験が、現場の「確かな手札」になる

そして何より大きなメリットは、一度しっかりとクレームに向き合い、誠実に対応を完遂すれば、それが組織の「ノウハウ」として蓄積されることです。

最初はどのように対応すべきか戸惑うような事例でも、逃げずに解決まで導くことで次のような経験値に変わります。

「このパターンのご指摘には、こういう手順で事実確認をし、こうお伝えすればご納得いただける」

困難な対応を経験すればするほど、現場の「手札(対応の引き出し)」は確実に増えていきます。

この手札の多さこそが、いざという時の現場の自信に繋がり、結果として患者様への安心感の提供へと還元されていくのです。

現場を労い、成長のフィードバックへ昇華させる

技術が不要になるわけではありません。土台であり続けます。
ただ、土台だけでは高さは出ない、ということです。

技術で信頼をつくり、他者視点を自分の中に取り入れる。
技術や知識の次に磨くべきものは、他人の頭の中を想像し、
「相手がどう受け取るか」を考えてコミュニケーションを取れる能力です。

それが成果を上げる人とそうならない人の差です。

「患者様は言わないだけで不満を抱えているかもしれない」

この緊張感を常に持ち続けることは、プロフェッショナルとして不可欠な姿勢です。

不満を直接言葉にしてくださった方の背後には、同じように感じて静かに去っていった何十人もの方がいるかもしれません。

そう考えれば、クレームは私たちへの「最後の期待」であり、成長への貴重なフィードバックに他なりません。

そして、現場で対応に当たるスタッフの苦労をしっかりと労い、フォローアップしながらも、その経験を単なるストレスで終わらせず、組織の新たな手札として昇華させていく。

これからも、そうした前向きで強い組織づくりを、クライアント先の皆さまと共に築き上げていきたいと考えています。



川上 裕也(かわかみ ゆうや)

株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング
コンサルティング部門 医業収入アップ シニアコンサルタント

北九州市立大学卒業後、4つの会計事務所で約20年間、経営者の良きパートナーとして200件以上のクライアントを担当。

3件目の会計事務所で、弊社代表である渥美がGMを務める大型歯科医院の担当者となる。

当初、医業収入2億円規模だった歯科医院を、担当していた3年間で5億円以上に成長させる過程に携わった。

今までに関わった歯科医院からは、マーケティングとマネジメントを駆使して「院長個人とクリニックにお金が残るようになった!」「自信を持って経営判断を下せるようになった!」「業績が一気に回復した!」・・・などの絶大な信頼を獲得。

全国のクリニックから寄せられる経営相談に応え、東奔西走している。

趣味は、バスケットボール。

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