マネジメント


From:原 浩恭(株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング)

歯科医院経営において、院長先生は日々数多くの意思決定を迫られます。

たとえば、

「予約管理を紙からデジタルへ移行すべきか」

「キャンセル率改善のために新たなルールを導入すべきか」

といった場面です。

二つのタイプの院長先生

こうした場面で、院長先生は大きく二つのタイプに分かれる傾向があります。

1、選択肢が明確で解決策も見えている状況であれば、速やかに決断していく院長先生

2、選択肢が明確で解決策も見えている状況なのに、スタッフ一人ひとりの意見を確認し、最終的な結論を出せなくなる院長先生

両者の違いは、そのまま医院の成長スピードに直結します。

一見すると、後者は「民主的」でスタッフ思いのように見えます。

しかし実際には、その行動が医院経営の停滞を招く大きな要因となるのです。

「院長先生=最終意思決定者」

歯科医院において院長先生は、診療を行う歯科医師という立場にとどまらず、経営者という立場を兼ね備えています。

したがって「最終的に方向性を決定するのは自分である」という前提を忘れてはなりません。

もちろんスタッフの意見を聞くことは重要です。

しかし「合意形成」そのものが院長先生の役割ではありません。

全員の顔色をうかがい続け、結論を先送りにすることは、医院経営の停滞を招き、結果として患者様やスタッフに不利益をもたらします。

経営者として求められるのは、「迅速な意思決定」と「決めたことをやり抜く力」です。

決断すべきポイントで決断しない院長先生が抱える問題

1、時間の浪費
全員の意見を待つ間に、シフト調整やキャンセル対策が遅れ、現場に混乱が生じます。

2、責任の所在が曖昧
誰が最終決定者であるか不明確となり、スタッフが不安を抱きます。

3、成長の停滞
意思決定の遅れが改善や変革を阻害し、結果として競合に後れをとります。

「スタッフに寄り添うこと」と「判断をスタッフに委ねること」は別物です。

院長先生はスタッフに寄り添いながらも、最終判断を下す責任者であることを明確に認識しなければなりません。

経営判断に役立つ「3つの箱」

意思決定を整理する枠組みとして「3つの箱」をご紹介します。

1、即決の箱
情報が十分に揃っている場合は、その場で決断します。

2、情報不足の箱
判断材料が不足している場合は、必要な情報を収集した上で決断します。

3、期限を設定する箱
検討の時間が必要な場合は、必ず期限を設定して先送りを防ぎます。

ここで重要なのは、「保留」という箱を設けないことです。

院長先生が意識すべきポイント

歯科医院における院長先生の役割は、「最終意思決定者」であることに尽きます。

スタッフ全員の合意を得ることが目的ではなく、「方向性を示すこと」が使命です。

1、情報が揃っている問題は即決し、判断材料が不足していれば情報を集めます。
迷う時間こそが医院の成長を止める最大のリスクです。

2、「期限を切って決める」習慣を持ちます。
「そのうち考える」という言葉は決して現実化しません。必ず期限を設定し、決断を先送りにしないことです。

3、スタッフの賛成を求めるのではなく、周知と徹底を図ります。
最初は抵抗があっても、実行する中で習慣化されていきます。

経営における意思決定は、スピードが命です。

決断すべきポイントで決断し、決断したことを実行していく力を身につけていきましょう。

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原 浩恭(はら ひろやす)

株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング
コンサルティング部門 医業収入アップコンサルタント

明治大学卒業。

歯科医院を数多く顧問に持つ税理士法人2社に在籍後、株式会社歯科専門集患アウトソーシングに入社。

前職では歯科医院専門担当者として年間医業収入が2億円を超える歯科医院を数多く担当し、歯科医院が成長していく過程を熟知している。

得意分野はA.P.O.manager(経営数値管理ソフト)を使ったデータ分析。課題を把握して確実に成果を狙っていく。

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