三鬼 明香(みき あすか)
正しい「損失回避バイアス」の使い方
From:松本 真由美(株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング)
セールスライティングにおいて、ポジティブな語り口調でベネフィットをアピールすることはとても大切です。
しかし、見込み客に行動を起こさせる手法はそれだけではありません。
今回は、何かを失う恐怖から行動を起こさせる「損失回避バイアス」についてお話したいと思います。
「損失回避バイアス」とは
損失回避バイアスとは、行動経済学の権威であるダニエル・カーネマンによって提唱されたもので、「得する喜び」よりも「失う悲しみ」の方を大きく評価するという我々の心理的特徴のことです。
つまり、喜びを得るための行動よりも、悲しみを避けるための行動の方が実行されやすいのです。
フィア・アピール
広告コピーの手法の中には、「フィア・アピール」と呼ばれるものがあります。
読み手に対して恐怖を与え、どうすればその恐怖を解消することができるのか訴求する手法です。恐怖によって読み手の損失回避バイアスを働かせ、その解決策を選ばせるというものですが、この手法を使うには充分に慎重にならなければいけません。
サウスイースタン大学のJ・ヘイル博士によって行われた広告テストでは、恐怖の強い広告が購買意欲を持続させないという結果が得られました。
次の2種類のメッセージを用意し、それぞれのメッセージを目にした見込み客の購買行動を調査したのです。
A「紫外線を浴びると、日焼けして肌が痛くなります。」
B「紫外線を浴びると、皮膚がんの発生率を5倍にし、ひどい痕を残します。その跡は絶対に消えません」
その結果、成功したのはAの恐怖心の低い広告で、Bの恐怖心の強い広告は持続的な成果に結びつきませんでした。Bの広告よりもAの広告の方を覚えているという人が多かったのです。
これは、人間が強すぎる恐怖を目にすると、無意識のうちにその恐怖を記憶から消そうとしてしまうからです。
フィア・アピールによって損失回避バイアスに働きかけたい場合には、強すぎる恐怖を与えないよう、充分に配慮する必要があります。
PROFILE
三鬼 明香(みき あすか)
株式会社 歯科専門 集患アウトソーシング
マネジメント部門 マネジャー
歯科衛生士